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第5回こうれい研まつり 開催報告
“ユニバーサルなまち”ができたら・・・
西鉄福岡駅から九州国立博物館までのタウンウォッチング

今回のこうれい研まつりでは、西鉄電車に乗って、国内外から多くの人を集めて、九州の新しい観光名所となっている九州国立博物館へ出かけてみようということになりました。道中で、新しく施行された『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー新法」という)に基づいてどのような整備がされているか、また今後ぜひ取り組んでいただきたい点などを見学・調査するとともに、そうした整備状況を九州初め全国の障害者・高齢者の皆様及びこうした問題に取り組まれている皆様に情報として発信し、より多くの方々に住みやすいまちづくりを提案していくことを目的に、調査を実施しました。

点から面へのエリア全体のバリアフリーを達成するためには、交通事業者や地元自治体、集客施設などの連携が必要不可欠になります。民間でも公共でもないNPO団体だからこそ、果たしうる新しい役割ではないかと思います。この調査がきっかけになり、各地で取り組まれる皆様へのご参考になれば幸いです。

1.調査の内容

(1)日時

平成19年10月7日(日)

(2)調査対象

西鉄大牟田線福岡(天神)駅⇒西鉄太宰府線太宰府駅⇒九州国立博物館

(3)内容

以下の3点を中心に移動の連続性についての検証を行う

  • 電車:西鉄福岡駅から西鉄太宰府駅までの駅舎及び電車内
  • 道路:西鉄太宰府駅から九州国立博物館までの道路とその関連施設 
  • 建物:九州国立博物館内とその関連施設

(4)調査方法

まず、実行委員会にてバリアフリー新法や各基準省令(次ページ(6)を参照)を根拠としたチェックシートを独自に作成した。次に下記の関係機関の協力により事前研修を実施し、バリアフリー化に関する取組状況等について学んだ。

  • 西日本鉄道株式会社 鉄道事業本部計画部営業開発課係長 近藤真哉氏
  • 九州国立博物館 九州国立博物館副館長 平中英二氏

実施するメンバーは実行委員を中心として、こうれい研会員および本企画に関心をお持ちの方に協力を依頼し、電車班、道路班、建物班の3班に分けてグループを構成した。

(建築関係者、福祉関係者、高齢者、障害者、一般参加者など計29名)

(5)協力先

  • 協力:太宰府市、九州国立博物館、叶シ日本鉄道
  • 協賛:(株)日本ケアサプライ、アクサ生命(株)、(有)禅建築所、(有)アルブ、(株)クネット・ジャパン、医療法人楠病院、(株)さかい経営センター、税理士法人SKC

2 調査のポイント

バリアフリー新法、各基準省令を基本に、健常な成人だけでなく車いす利用者、内部障害者、聴覚障害者、視覚障害者、高齢者、子どもなど、様々な立場の方の参加・協力のもと、特に次の点をポイントに調査・検証を行った。

(1) 電車

連続した「移動における円滑度」や外出に不可欠なトイレ環境、またバリアフリーの度合いとユニバーサル化へのヒントを発見すべく調査・検証を行った。

また、コミュニケーション障害を前提にした情報案内の整備状況等について、聴覚障害者にも同行をお願いして、現実の使いやすさを検証した。

(2) 道路

誘導サインや高低差についてのバリアフリー、公衆トイレの使い方に問題がないか等について、事前調査も踏まえて重点的に調査を行った。

また、高齢者だけではなく車いすの利用者や外国の方々にとってもスムーズにかつ快適に目的地まで移動できるかについても検証した。

(3) 施設

出入口、階段、トイレ、案内設備等を中心に、寸法・形状・使い勝手について調査を行った。

通路や駐車場については道路班に譲り、来館者の館内における動線を対象とした。

バリアフリー新法は視覚障害者への配慮もうたっており、視覚障害者の方にも同行をお願いして、使いやすさを検証した。


3 調査結果の整理と提案

(1)調査結果の整理

(1) 電車

施設も車両も、移動の円滑度向上に向けた改善が着々と進んでいる。 また、ハード面の円滑度の不足・技術的困難性を積極的なヒューマンタッチで補完する姿勢が素晴らしいと感じた。

今後、改善に向けた取り組みが期待されるのは以下のような点である。

  1. スピードアップ

    二日市駅等先駆的な取り組みを、早く全体に広げるよう期待したい。

  2. 伸展のPR

    利用乗客はもとより、地域内の関連先を啓発するためにも、すでに整っている円滑化改善情報を、Web siteや新聞・ラジオ、ポスターなどを活用してどんどん広報し、目や耳で分かるような周知努力をお願いしたい。


車いすの乗客には社内資格を持つ介助員が用具を持参する

段差を自走できなければ介助員がサポートする

スロープは三つ折り軽量で女性でも楽々搬送できる

(2) 道路

新しく整備された道路は点字ブロック等も整備され、段差もほとんどなく快適な移動が可能であった。その他に更なる改善が期待されるのは以下のような点である。

  1. 太宰府駅前のサインの統一と見やすい地図の掲示

    車イスの利用者や弱視の方、杖を使用する方にとっては、どうみても歩きやすいとは言い難い。

    参道商店街のサインの統一や、見やすい地図の掲示をお願いしたい。

  2. 公衆トイレの出入り口の確保

    案内所横の公衆トイレでは、自販機やゴミ箱が入口をふさいでいる。また九州国立博物館へのトンネル入口横の公衆トイレは、入口が土のままの上段差があるために車イスが入れない。ぜひバリアフリーになるよう改善をお願いしたい。

  3. 国立博物館に向かうエスカレーターやリフトの改善

    国立博物館に向かうエスカレーターやリフト内は暗過ぎる。また音がこもるため、案内放送が聞き取りにくい。こうした安全面や、昇降リフトの搬送機能、利用方法の改善をお願いしたい。


太宰府駅案内所近くの公衆トイレ
入り口の自販機やゴミ箱が車椅子の通行を妨げている

九州国立博物館へ向かうエレベーター
途中は暗くて不安になるとのこと

(3)施設

施設自体は新しく、ハード面でもいたる所に細かな配慮が見られた。また長年にわたる誘致・設立に向けての行政や地域住民、企業などによる様々な取り組みが功を奏し、ソフト面を重視した運営となっているところが素晴らしい。

その中で気になったのは以下の点である。

  1. 動線の混在

    展示室の出入口やエスカレーター付近等において来館者やスタッフの動線が混在しており、入館者が多くなる土・日などは、この動線が特に入り乱れるように思われる。

  2. コンセプトの周知

    設立時の設計コンセプトを大切にしているため、ハード面では必ずしもバリアフリー化されていない部分がある。これをカバーするためにマンパワーを充実させているが、このことが周知されていない。

    すべての人が安全で、快適に過ごせる環境づくりのためには、更なる周知のためのPRが必要であると考えられる。

【写真】九州国立博物館内

エレベーター 幅、奥行きの確認

トイレ

動線の交錯
4階に上がる人、特別展示室、休憩スペース、ボランティアの人の動線が混じる

(2)提案

(1)サインの連続性

今回は、西鉄福岡(天神)駅から二日市駅を経由し、太宰府市の九州国立博物館まで、実際に障害をお持ちの方や高齢の方と一緒に移動してみることで、今まで気付かなかった事柄に多く触れる体験ができ、いつも見慣れた街が、新鮮に感じた。

その中で、電車班・道路班・施設班の報告で共通していた問題点としては、「サイン」というテーマがある。いつも利用している人には当たり前のサイン、ところが初めての人にはわかりにくい。特に障害や加齢に伴う視力低下のある高齢者にとっては、実はサインが連続していないことがわかった。

例えば西鉄天神駅では、たくさんの案内に埋もれてわかりにくい駅自体の場所を示す表示。看板や建物の事情からか、サインが高すぎて初めて通る人には見つけにくいようだ。サイズ、高さ、設置場所の再検討が必要だと思われる。

また電車内表示や乗換えの案内はわかりやすいのだが、太宰府駅を出ると太宰府天満宮を通るルートの案内看板のみで、太宰府市が整備した「国博通り」への案内は「無い」に等しい状態である。

国立博物館内でも、動線が交差するポイントに誘導サインが欲しい箇所がある。また設置後変更が加えられたからか、案内板と現状が違うなど、見直しが必要な箇所も見つかった。

九州の新しい文化と観光の財産である国立博物館へ向かうルートが、"日本で一番移動しやすいエリア"になるように、関係機関各位による協議を経て、サインの連動や統一が実現できる一助になることを願う。

ハード整備とは異なり、大きなコストや時間をかけずに改善できる点が多いので、関係の皆様には、是非検討をお願いしたい点である。

(2)PRの必要性

西鉄電車の車いす対応は、スタッフ研修がしっかりできており、駅間の連携もスムーズであり、大変すばらしいという意見が多数出た。 

また、太宰府市によって整備された「国博通り」は、景観を含めてきめ細やかな配慮がされており、国立博物館のユニバーサルミュージアムプロジェクトとあわせて、もっとPRが必要ではないかと感じた。

特に各ポイントで配布される観光案内パンフレットは、様式も内容も各々異なっている。エリアに対する統一したコンセプト、各制作担当者に表現イメージの共有があれば、もっと円滑な移動がしやすくなり、このエリアに対する高い好感度を確実に持ち帰っていただける効果が期待できるのではないだろうか。

更にそうした整備の情報を提供する際には、来街者への現場配布だけでなく、近隣地域・全国・海外の、学校、高齢者施設、輸送業界、観光業界、公共施設、マスコミなど、考えられる多方面への計画的供給が効果的と考えられる。

そのような展望を実現するためにも、今後関係する機関各位が集い、"日本一のユニバーサルなエリア"をめざす話し合いの場を立ち上げ、そうした取り組み事例を積極的にPRして行うことを提案したい。


私たちは今回の調査をスタートラインとして、このエリアを日本中に誇れる、円滑に移動しやすい交通経路・施設として充実することに参加し、お手伝いをしていきたいと考えています。

今回ご協力いただいた関係各位には、行政・民間企業・市民(NPO)の協働によるプロジェクトとして今後も継続的に再検証を行い、改善成果を確認しながら新たな問題点を見出して共有化し、その対策を共に協議しながら、目標に向けた整備を進めることを提案いたします。

  • *報告書をご希望の方に配布いたします。送料として500円切手を事務局まで お送りください。

特定非営利活動法人 高齢者快適生活つくり研究会

■事務局
〒830-0017 久留米市日吉町115 楠病院内
TEL/FAX:0942-35-2886