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特集!


タウンモビリティ〜イギリス視察報告〜

 こうれい研ではこの3年ほど、暮しやすい街づくりの一環として、タウンモビリティの普及・広報活動を行なってきました。昨年末にはイギリスウーバーハンプトン市より、担当者をお招きし、久留米と福岡で講演会も開催しました。
しかし、やはり「百聞は一見にしかず」ということで、本場でのタウンモビリティ(現地ではショップモビリティ)の現場を見に久留米大学経済学部の先生方と出かけてまいりました。2月末の一週間(5泊7日)で、3箇所のショップモビリティを見学してきたのですが、街の特性や組織のあり方によって3通りの例を見れたのは幸いだったと思います。
今回は皆さんの街でも高齢化に向けて様々な取り組みがなされているとは思いますが、その一助になるように、視察報告をさせていただきます。

■タウンモビリティとは
イギリスでは高齢者も障害者も出来る限り在宅で生活できるように在宅サービスが充実しているが、街へ買い物に出かける移動手段として送迎サービスや、商店街等における電動スクーターや車椅子を貸し出すことで行動の自由を確保する福祉スキームをショップモビリティといいます。ショップモビリティの思想は1981年、買い物に行きたくていけない外出困難な高齢者を援助しようと
いうショッピングセンターの取り組みから始まり、1990年には全英ショップモビリティ連盟(NFS)が設 立され、現在英国の270あまりの都市で導入されています。
■その効果
@外出困難な人たちの生きがい作り
A街に経済効果と活性化をもたらす
B潤いのある街
C地域コミュニティの再構築
D福祉予算の軽減


ウーバーハンプトン・ショップモビリティ
ウーバーハンプトン・ショップモビリティ 人口約20万、電車で30分の距離に100万都市バーミンガムがある、中規模の地方都市です。中心市街地で市が実施しているショップモビリティシステムにより、各地から買い物目的のお客を引き寄せており、システム導入後の経済効果と街の復興はイギリスでも上位に入る成績です。登録会員数は約1,000人程で、1日に40〜50人がスクーターなどの貸し出しやその他のサービスを利用しに訪れています。
■SCREEN SHOT■

ステーション。
道をはさんでパーキングがあります。

石造りの床を削って段差を解消。

送迎を待ったり、荷物を預けたり、
お茶を飲んだりするスペースが
ステーションの中にあります。


グロスター
グロスター ローマ時代に作られたという伝統ある石造りの町並みの中心部は、完全な歩行者天国になっておりその周辺部に駐車場が配備され、その一角にショップモビリティのステーションがあります。まったくのボランティアで運営されており、運営費は寄付金や寄付されたものをリサイクルで売るなどしてまかなわれています。
「ハリーポッター」の舞台にもなった大聖堂にも一部を除き車椅子やスクーターで入ることが出来ます。石造りでありながらその景観を残しつつ、見事にバリアフリー化に成功している美しい街です。
■SCREEN SHOT■

映画「ハリー・ポッター」の舞台になった大聖堂。
バリアフリーになっています。

車を排除したことで、広い歩行空間を確保。
いたるところにベンチがある。

パークアンドライドがシステム化され、街中には車は入れない。


コルウィンベイ
コルウィンベイ イギリス西部にあるリゾート地で、夏は特に多くの観光客でにぎわっています。ここでは地域のみならずこうした観光客を対象にショップモビリティを実施しています。予約をしておけば駅のそばのステーションでスクーターや車椅子を借りる事が出来、滞在中ずっと使用する事ができます。運営はNPOが行なっており、利用する人たちも会員として発言権があり、みんなで運営しています。
その他バスの送迎サービスや車での出迎えボランティアも実施していて、現在では数ヶ月先まで予約が一杯の状況です。
■SCREEN SHOT■

コルウィンベイのステーション。
駅から2・3分のところにある。

観光客用に10台程のスクーター、
住民用に3台程のスクーターを常設

夏は海辺のリゾート地としてにぎわいます。



 今回イギリスへは、極寒の2月に行ってきました。なぜならその時期だと飛行機の運賃が格安なのです。ロンドンを通り過ぎ、イギリス中部のウーバーハンプトン市へ。ここの民宿を拠点に5日間行動しました。私達が利用した民宿の主は、一人暮らしの60代前後の女性で、空いている2階の部屋を格安で貸しているほか、障害者や児童の悩み相談や緊急時の電話対応のボランティアをしていました。市民が少しずつ自分のできる範囲でボランタリーな活動をして一人暮らしの高齢者や障害者を支えている、タウンモビリティを含め福祉は本当に充実しています。
 ウーバーハンプトン、グロスター、コルウィンベイに共通して言えるのですが、地域で暮らせるためのきめこまやかなサポート体制がしっかりできているというのを実感しました。タウンモビリティも本当にたくさんの人が利用しており、大体1,000人ほどの人が会員になっていて、毎日40人ほどの人が、スクーターや車椅子を借りて街中で買い物などを楽しんでいました。街の周辺には24時間営業の日本とは比べ物にならないほどの大型のショッピングセンターもあるのですが、そこでは食料等を買出しにくる場所、街の真中は観劇やスポーツ観戦、食事、ゆっくり買い物をするために出かける場所、というすみわけが見事にできていました。
ショッピングセンターでは主婦や若者がカート一杯に買出しをし、足早に立ち去るのに対し、中心部のショッピングモール(民間が運営する商店街)では、電動車椅子利用者同士が買い物途中に立ち話(すわり話)、車椅子やスクーターはいたるところに見られ、2台の車椅子や電動スクーターが止まっていても少しも邪魔にならない通路があり、それをあたりまえのように通り過ぎていく他の買い物客の人々の反応が新鮮でした。タウンモビリティがあるということで遠方からも集客しており、海辺のリゾートであるコルウィンベイでは3ヶ月先までタウンモビリティを利用する観光客の予約で一杯ということでした。

日本でも使われている視覚障害者用の点字ブロック等も、日本では整備不足や違法駐車などで、あまり機能していないのに対し、イギリスでは要所要所に異なるブロックを使い、普通の道ではみんな匂いや五感を頼りに移動し、危険のあるところだけを点字ブロックできちんと知らせるといった見事な方法がとられていました。

こうした街は当然一朝一夕でできたわけではなく、10年・15年の歳月の中で市民を巻き込んだ街作りが行なわれたことで変わってきたのです。
高齢化の進む日本、これからの社会を住みよくするためにも、たとえ少しずつでも今から街を見直して整備していくことが、とても大切に思えた視察旅行でした。

こうれい研・理事:吉永



特定非営利活動法人 高齢者快適生活つくり研究会

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